倫理綱領

一般社団法人日本学童保育士協会

学童保育士 倫理綱領

【倫理綱領 前文】

 学童保育の誕生は戦後、大阪市内の民間保育園の園長が卒園児の放課後の生活の実情を憂慮し、戦後の貧しさや寂しさを抱えた子どもたちのために、施行されたばかりの児童福祉法の「保育に欠ける児童」を適用して始めたのが最初だと言われています。
1960年代、日本の高度経済成長とともに学童保育の要求は大きく高揚し、その国民的な願いが土台となって児童福祉法にも明記されました。
現在、学童保育は日本の社会にとって必要不可欠の事業になり、学童期の子どもの豊かな生活と成長・発達に大きな役割を担うとともに、その実践は地域で子どもが豊かに育つ遊び・文化活動の創造につながっています。
 学童保育士は、「放課後及び学校休業日の生活・遊びを通して学童期の子どもの成長・発達を保障する」ことと「保護者の働く権利と家族の生活を守る」専門職です。
学童保育士は地域における児童福祉の発展に寄与しつつ、学童保育士の専門性と職責について広く社会の理解を深めるよう努め、「学童保育士」の国家資格・公的資格実現にむけて取り組みます。

〈学童保育士の定義〉

 学童保育士は、一般社団法人日本学童保育士協会、NPO法人学童保育指導員協会、NPO法人学童保育協会の三協会が認定する「学童保育士」の資格取得者であり、学童保育士の名称を用いて、専門的知識、技術及び技能をもって、学童期の子どもの保育及び指導、保護者への子育て支援等を行うことを業とする児童福祉に関する専門職です。

倫理綱領

(子どもの最善の利益の尊重)

1.学童保育士は、「日本国憲法」・「子どもの権利条約」を遵守し、一人ひとりの子どもの「最善の利益」(best interest)を第一に考えます。

(子どもの発達保障)

2.学童保育士は、一人ひとりの人権を尊重し、個性に配慮して指導を行ない、子どもが健やかに成長・発達する権利を保障します。

(保護者の働く権利保障)

3.学童保育士は、保護者の働く権利をはじめとして、保護者の疾病や介護を必要とする家族の生活を守る取り組みをすすめます。

(保護者との信頼関係の構築)

4.学童保育士は、保護者の働きながらの子育てを支え励まし、信頼関係を築きます。

(休息及び余暇、その年齢に適した遊びに自由に参加する権利の保障)

5.学童保育士は、子どもの発達における放課後の休息、あそび、活動に自由に参加する権利の重要性を実践を通して地域に伝えます。

 (職場でのチームワーク)

6.学童保育士は子どもの「最善の利益」となる保育を実践するために、職場におけるチームワークを大切にします。

(地域における児童福祉の貢献)

7.学童保育士は、地域の人々や、学校をはじめとする関係機関と連携を図り、地域における児童福祉の発展に寄与します。

(専門性の向上)

8. 学童保育士は、科学的知識を学び、常に自らの実践を省察し、専門性を常に高めます。

(社会的地位の確立)

9. 学童保育士は、専門職として働き続けられる処遇保障と社会的地位向上を目指します。

【行動規範】

 この『学童保育士の行動規範』は、『学童保育士の倫理綱領』に基づき、学童保育士が学童保育実践や保護者支援、地域・関係機関との連携などの基本的業務を行なう際に、従うべき行動を示したものである。

Ⅰ 基本的倫理

<職業上持ち得るパワーを濫用しない義務>

 1 学童保育士は、子どもの基本的人権を守り、『児童虐待防止法』に基づいて、いる場合でも子どもに対して虐待行為(言葉の暴力を含めて)を行なわない。
 2 学童保育士は、子どもを非難し、審判することは行なわない。
 3 学童保育士は、子どもや保護者に自分の価値観や保育観を押し付けない。
 4 学童保育士は、いかなる理由においても子どもに対して、性的接触・行為は行なわない。
 5 学童保育士は、個人の利益のために、不当にその立場を利用しない。

<個人のプライバシーを守る義務>

 6 学童保育士は、子どもおよび保護者のプライバシーを尊重し保護する。
 7 学童保育士は、業務を離れた日常生活においても、また離職後も子どもおよび保護者の個人情報に関する守秘義務およびプライバシーを保護する。
 8 学童保育士は、記録の保存と廃棄について、子どもおよび保護者の秘密が漏れないよう十分に配慮する。

Ⅱ 「日本国憲法」、「子どもの権利条約」に根ざした保育

<法の理念に基づいた職業意識>

 1 学童保育士は{日本国憲法}、「子どもの権利条約」を遵守し、その理念を保育に活かす努力を行う。

<子どもの権利条約に基づいた児童への対応>

 2 学童保育士は入所児童の「最善の利益」を確保するための不断の努力を行う。(第3条)
 3 学童保育士は、一人ひとりの個性に配慮し、健やかな成長・発達を促すことができるよう援助に努める。(第6条)
 4 学童保育士は、子どもに温かい気持ちを寄せ、その思いを尊重し、情緒の安定を図る。
 5 学童保育士は、子どもがその意思を表現できるよう援助する。(第12条)
 6 学童保育士は、子どもが自らの放課後の生活について、自らの意見を表明する機会を
保障し、自分の意思で放課後の生活を決定できるように援助する。(第12条)
 7 学童保育士は、子どもの行動が危険を伴う場合、あらかじめその行動を制限する場合には、その理由を明らかにし、児童の了解を得るように努める。
 8 学童保育士は、放課後の自由な時間における休息やあそびの活動が子どもに及ぼす発達的意義を十分に理解し、保育に活かしていく。(第31条)

Ⅲ 働く保護者への子育て支援と社会的共同

<働く保護者の権利保障と子育て支援>
 1 学童保育士は働く保護者が子どもへの十分な養育責任を果たせるように積極的な支援を行なう。(子どもの権利条約第18条)
 2 学童保育士は、専門職としての義務と子どもおよび保護者の権利について説明したうえで保育および職務を遂行する。
 3 学童保育士は、子どもおよび保護者が必要な情報を十分に理解し、納得していと確認する。
 4 学童保育士は、子どもへのかかわり、働きかけおよび保護者への対応について、説明責任を負う。
 5 学童保育士は育児に困難さを持つ保護者を支援するために、関係諸機関との積極的な連携を行う。ただし、子どもおよび保護者の個人情報を収集又は使用する場合、可能な限り、保護者の了解を取り、その守秘義務を遵守しなければならない。

<保護者との信頼関係の構築と社会的共同>

 1 学童保育士は、いかなる時も保護者の働く権利とその家族の生活を守る立場で、保育や業務を行なう。
 2 学童保育士は、学童保育制度の拡充・発展のために積極的に社会に働きかける努力を行う。

Ⅳ 地域との共同と地域コミュニティへの貢献

 1 学童保育士は、常に子どもをめぐる関係機関(学校・保育園・地域など)との十分な協力関係を築けるよう努力し、連携を意識して日常業務や保育を行なう。
 2 学童保育士は、学童保育が地域福祉の重要な一翼を担い得るような中味づくりに向けて不断の努力をする。
 3 学童保育士は、日常の実践を通して、地域にあそびの重要性や中味を発信し、学童保育が地域のあそび文化の拠点となるよう努力をする。

Ⅴ 専門性の向上

 1 学童保育士は、その固有の専門性を十分に認識し、よりよい保育及び業務を遂行できるよう常に向上心を持つ。
 2 学童保育士は、自己研さんに励み、自らの主体的力量を向上させる努力をする。
 3 学童保育士は、専門職として相互に高まり合い、よりよい保育・仕事の確立を目指して互いに不断の努力をする。

Ⅵ 社会的地位の確立

 1 学童保育士は、子どもの発達を保障する専門職としての自覚と誇りを持ち、自らの職業の社会的地位の確立・向上に向けて努力する。
 2 学童保育士は、経験を重ね、自己研さんを積みその専門性を確立することを目指すと同時に、働き続けられる条件づくり、処遇の保障を目指して社会的な取り組みを進めていく。
※細かい箇条書き表示や見出しの体裁など、原文と異なるところがあります。詳しくは倫理綱領PDFファイルをご参照ください。

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